キャサリン
~ 問題児 少女の物語 ~
「問題児が認められる世界で、会おう!」
ひっそりとした裏通り、一人の少女が踊っている。光もほとんど入らない場所で熱心に踊る姿は、どこか不気味にも感じられる…。その時、雰囲気に合わない明るい声が流れる。
「さぁ、一日中裏通りにこもって、外に出るつもりのない今日の主人公はどんな子でしょうか?」
***
私の名前はキャサリン。私は音楽に魂をゆだねて踊っていた。
体中でリズムを感じる、この素晴らしい才能を見て。まるで私が音楽となり、音楽が私になった姿を見ていると体中に戦慄が走る。これを見て誰が私を問題児だと思うかしら!
私はうぬぼれて両親の顔を見た。ママ、パパ!本当に心配する必要ないわ!ママとパパは問題児を生んだのではなくて、音楽の天才を生んだのよ!
「おぉ、キャサリン!あなたは一体どうしたいの?!」
いつも慈しみ深い笑みを浮かべていた問題児王国の女王様、つまり私のママは両手に顔を埋めて嗚咽した。パパはママの肩を抱き、到底理解できないという目で私を見つめた。
「腹立つ!なんで泣くの?このダンスと歌は本当にヤバいんだから!」
その様子を見守っていたサム・ウンヨン先生、問題児たちの救世主と呼ばれる先生が口を開いた。
「ご両親が自分の才能を認めてくれなくて悲しかったでしょう?」
先生の言葉を聞くと、モヤモヤしていた気持ちがすっきりとした。しかし、それもつかの間、すぐにサム・ウンヨン先生の表情は暗くなった。
「お母さん、お父さん。この子はこの惑星に留めておくには、大きすぎる子です。
この子はもっと広い世界に出たほうがよさそうです。」
どういうこと?!
「我々の惑星は静かで小さな惑星でしょう。
一定水準以上のデシベルを超えると惑星が爆発する危険があります。思い切り声を出し、
思い切り踊ることで幸せを感じられるお姫様には、もっと広い世界が必要です。」
サム・ウンヨン先生は明るく微笑んでそう話した。一瞬、私のことを思って言ってくれたように思えたが、私はすぐにそこに秘められた意味に気づいた。
「私に金のかけら惑星から出ていけと?大事な子供を追い出す大人がいる?ありえない。」
***
追い出された!私は住んでいた『金のかけら惑星』から何光年も離れた正体不明の星に来た。私は遠のいていく宇宙船を見ながら叫んだ。
「ママ、パパ。私は実の娘なの?!これはヤバい!」
見知らぬ惑星に娘を追い出す親なんて!本当に私は実の子なのかな?
私は暗い空の上に白い星となる宇宙船をぼんやりと見つめた。
「怖がらせるつもりじゃなくて、マジで私を追い出したんだね。」
私は、やっと一人になったということを実感した。顔が赤くなり、緊張したせいか手足がしびれた。
私キャサリン、容赦しないわ。金のかけら惑星も私に耐えられなかったのに、この惑星が私に耐えられると思う?この惑星も使えないものにしてやる!
怒った私は、ここでも毎日裏通りに行き、ダンスとラップに明け暮れた。しかし、やはりここでも私は他の人の目の敵となった。
通りかかった人たちはカッコいい私のダンスを見てもおかしいと騒ぎ、ライムが完璧な私のラップを聴いてもうわ言だと言った。この惑星を滅茶苦茶にするどころか、私の心だけが滅茶苦茶になりかけていた。
「マジでムカつく。誰も分かってくれない。いや、もしかしたら私は…。」
才能がないのかもしれない。才能があるのなら、すぐに有名になっているはず。
これまでは、私は自分に確信があった。しかし、新しい惑星に来てからは、変わったことはないけれど、間違っているのは自分ではないかと思うようになった。
「どこに行っても、私は救済不能、他人を怒らせる問題児、キャサリンなのかな。」
私は、自暴自棄になり、目を閉じた。
***
それからどれくらい経った頃だろう?はるか遠くから送られる無線機の音のような声が聞こえた。
『ねえ、キャサリン!』
私は、目を丸くして音が聞こえる方向を見た。そこには可愛いスピーカーがあった。
『あなたが惑星をひっくり返す、困った問題児だな?』
おどけた声には茶目っ気が溢れていた。私は笑い者にされた気がして眉をひそめた。
「何なの?一体、誰?」
『私?私は他の世界に住む問題児。でも、ここと違うことと言えば…こっちの世界では
私のダンスと歌を認めてくれる。』
その言葉が私はとても羨ましかった。私のダンスと歌も認められたらどれほど嬉しいだろうか?
「何よ、自慢しようと私に話しかけたの?」
私は頬を膨らませてスピーカーをにらんだ。
『いや、私はあなたを理解している。あなた上手でしょ?』
悲しい気持ちでどんな言葉も良くは聞こえなかったけど、気持ちが傾いたのは確かだった。
『私が住む星では、あなたを見たらきっとみんな称賛するわ。約束する。
キャサリン、あなたはここでは認められるはずよ。』
「ほ、本当?」
『うん、本当。ここに来て、私が手伝ってあげる。私とアイドルになるのはどう?』
「いいわ、今すぐ行く。そこはどこなの?」
私は体を起こした。
これ以上、言うこと聞かない救済不能な問題児とは呼ばれたくない。私もママとパパにとって常に自慢の娘でありたい。そのためには、私を認めてくれる人がいるということを見せないといけない。私がおかしいのではなく、特別だということを証明できるから。
それまでくすんだ闇の中にいたスピーカーが音を立て、素晴らしいビートを刻み始めた。スピーカーから流れるビートは青く輝く明るい光に変わり、私にドアを開けてくれた。
問題児キャサリンが認められる世界で、会おう!
~ 問題児 少女の物語 ~
「問題児が認められる世界で、会おう!」
ひっそりとした裏通り、一人の少女が踊っている。光もほとんど入らない場所で熱心に踊る姿は、どこか不気味にも感じられる…。その時、雰囲気に合わない明るい声が流れる。
「さぁ、一日中裏通りにこもって、外に出るつもりの
ない今日の主人公はどんな子でしょうか?」
***
私の名前はキャサリン。私は音楽に魂をゆだねて踊っていた。
体中でリズムを感じる、この素晴らしい才能を見て。まるで私が音楽となり、音楽が私になった姿を見ていると体中に戦慄が走る。これを見て誰が私を問題児だと思うかしら!
私はうぬぼれて両親の顔を見た。ママ、パパ!本当に心配する必要ないわ!ママとパパは問題児を生んだのではなくて、音楽の天才を生んだのよ!
「おぉ、キャサリン!
あなたは一体どうしたいの?!」
いつも慈しみ深い笑みを浮かべていた問題児王国の女王様、つまり私のママは両手に顔を埋めて嗚咽した。パパはママの肩を抱き、到底理解できないという目で私を見つめた。
「腹立つ!なんで泣くの?このダンスと歌は
本当にヤバいんだから!」
その様子を見守っていたサム・ウンヨン先生、問題児たちの救世主と呼ばれる先生が口を開いた。
「ご両親が自分の才能を認めてくれなくて
悲しかったでしょう?」
先生の言葉を聞くと、モヤモヤしていた気持ちがすっきりとした。しかし、それもつかの間、すぐにサム・ウンヨン先生の表情は暗くなった。
「お母さん、お父さん。この子はこの惑星に留めて
おくには、大きすぎる子です。この子はもっと広い
世界に出たほうがよさそうです。」
どういうこと?!
「我々の惑星は静かで小さな惑星でしょう。
一定水準以上のデシベルを超えると惑星が爆発する
危険があります。思い切り声を出し、思い切り踊る
ことで幸せを感じられるお姫様には、もっと広い
世界が必要です。」
サム・ウンヨン先生は明るく微笑んでそう話した。一瞬、私のことを思って言ってくれたように思えたが、私はすぐにそこに秘められた意味に気づいた。
「私に金のかけら惑星から出ていけと?大事な
子供を追い出す大人がいる?ありえない。」
***
追い出された!私は住んでいた『金のかけら惑星』から何光年も離れた正体不明の星に来た。私は遠のいていく宇宙船を見ながら叫んだ。
「ママ、パパ。私は実の娘なの?!
これはヤバい!」
見知らぬ惑星に娘を追い出す親なんて!本当に私は実の子なのかな?
私は暗い空の上に白い星となる宇宙船をぼんやりと見つめた。
「怖がらせるつもりじゃなくて、マジで私を
追い出したんだね。」
私は、やっと一人になったということを実感した。顔が赤くなり、緊張したせいか手足がしびれた。
私キャサリン、容赦しないわ。金のかけら惑星も私に耐えられなかったのに、この惑星が私に耐えられると思う?この惑星も使えないものにしてやる!
怒った私は、ここでも毎日裏通りに行き、ダンスとラップに明け暮れた。しかし、やはりここでも私は他の人の目の敵となった。
通りかかった人たちはカッコいい私のダンスを見てもおかしいと騒ぎ、ライムが完璧な私のラップを聴いてもうわ言だと言った。この惑星を滅茶苦茶にするどころか、私の心だけが滅茶苦茶になりかけていた。
「マジでムカつく。誰も分かってくれない。
いや、もしかしたら私は…。」
才能がないのかもしれない。才能があるのなら、すぐに有名になっているはず。
これまでは、私は自分に確信があった。しかし、新しい惑星に来てからは、変わったことはないけれど、間違っているのは自分ではないかと思うようになった。
「どこに行っても、私は救済不能、他人を怒らせる
問題児、キャサリンなのかな。」
私は、自暴自棄になり、目を閉じた。
***
それからどれくらい経った頃だろう?はるか遠くから送られる無線機の音のような声が聞こえた。
『ねえ、キャサリン!』
私は、目を丸くして音が聞こえる方向を見た。そこには可愛いスピーカーがあった。
『あなたが惑星をひっくり返す、
困った問題児だな?』
おどけた声には茶目っ気が溢れていた。私は笑い者にされた気がして眉をひそめた。
「何なの?一体、誰?」
『私?私は他の世界に住む問題児。
でも、ここと違うことと言えば…こっちの世界では
私のダンスと歌を認めてくれる。』
その言葉が私はとても羨ましかった。私のダンスと歌も認められたらどれほど嬉しいだろうか?
「何よ、自慢しようと私に話しかけたの?」
私は頬を膨らませてスピーカーをにらんだ。
『いや、私はあなたを理解している。
あなた上手でしょ?』
悲しい気持ちでどんな言葉も良くは聞こえなかったけど、気持ちが傾いたのは確かだった。
『私が住む星では、あなたを見たらきっとみんな
称賛するわ。約束する。キャサリン、あなたは
ここでは認められるはずよ。』
「ほ、本当?」
『うん、本当。ここに来て、私が手伝ってあげる。
私とアイドルになるのはどう?』
「いいわ、今すぐ行く。そこはどこなの?」
私は体を起こした。
これ以上、言うこと聞かない救済不能な問題児とは呼ばれたくない。私もママとパパにとって常に自慢の娘でありたい。そのためには、私を認めてくれる人がいるということを見せないといけない。私がおかしいのではなく、特別だということを証明できるから。
それまでくすんだ闇の中にいたスピーカーが音を立て、素晴らしいビートを刻み始めた。スピーカーから流れるビートは青く輝く明るい光に変わり、私にドアを開けてくれた。
問題児キャサリンが認められる世界で、会おう!