モツ番長
~ 宇宙征服を夢見る宇宙人の物語 ~
「アイドルとは、地球で宇宙征服の準備をする
少数の精鋭隊員だと思われる」
タタタタ、ピピーッ。
「@#%$^@#%!$(今週の地球観察日誌、アップロード完了。以上)」
「#%@^@#^@#(地球語の練習のため、今後は地球語で疎通されたし。以上)」
「@^@^(了解。まずは韓国語から練習する。以上)」
ここはM8191惑星。私の任務は宇宙観察だ。宇宙を征服するためには、観察が不可欠。とりわけ主な観察対象となっているのは、最近発見した地球という惑星だ。まだ観察日誌には詳しく書いていないが、地球という場所は実に興味深い。
そこでは、他の生命体が食事している姿を見物することが人気だ。地球人はそれを「モッパン」と呼んでいる。
私も偶然、「スンデネジャン」という食べ物のモッパンとやらを目にしたことがある。「スンデネジャン」とは一体何か?M8191惑星には、「飲食」という概念がない。私たちは何かを食べるのではなく、液体エネルギーを充填するからだ。
全ての生命体がおいしいと称賛するそれを、地球に行くことになったら私も食べてみたいと思っていた時だった。
~ピヨン、ピヨン~
「$%@^@#%@%#@(緊急事態発生。韓国の蚕室地区から巨大信号。確認を頼む。以上)」
「#$@#(了解。確認する。以上)」
何事だろう?
急いで周波数を合わせ、韓国・蚕室の様子をチェックする。
そこには丸形で真ん中に穴の開いた謎の宇宙ステーションのようなものがあった。今まで気付かなかったとは。宇宙ステーションのような所からはものすごく大きな音が漏れ聞こえていて、時々、空に向かって大きな花火を打ち上げてもいた。
宇宙への攻撃か!と思ったが、技術力不足で宇宙までは到達しないようだ。気を取り直して急いで数えてみると、およそ6万4342人の地球生命体が集まっていた。彼らはまるで儀式でもするかのように、中央にいる数人の地球生命体に向かって、何やら声を上げていた。
中央の地球生命体は、私と同じような精鋭隊員なのだろうか?私が一度も聞いたことのない美しい声を出していた。そうやって、全宇宙の生命体を惑わそうとしているのだな!
ところで、精鋭隊員らしき者たちに向けて地球生命体たちが振っている、あの小さな横断幕のようなものは何だろう!?急いで拡大して見た。拡大すればするほど驚愕させられた!
【宇宙征服だ】
【キングゴッドジェネラル 宇宙最高】
【この世を全て手に入れた気分?ちょっと待って。
もうじき宇宙も手に入るから】
【そんなに優秀だったら宇宙征服しかできないよ】
なんということだ!地球も宇宙征服を準備していたのか?冗談じゃない。そんな気配は全くなかったのに…、これほど大規模なものだとは!
~ピヨン、ピヨン~
「!@%!#^!^#!(M8191、全隊員の招集を願う)」
「@#^@^#(韓国に関する事案のため、全ての会議は韓国語で行う予定だ。以上)」
M8191惑星の全隊員を対象に、私が目撃した衝撃的な状況に関するブリーフィングを行うべく準備した。蚕室地区を集中的に観察し終えた結果――
その行為は『コンサート』というものだった!地球が定めた宇宙征服のコードネームだと推定される。そして、地球生命体が歓喜していた対象は、『アイドル』というものだった。アイドルとは、地球で宇宙征服の準備をする少数の精鋭隊員だと思われる。彼らは『コンサート』のために、多くの生命体を高揚させる歌を映っていたのだった。
まだ地球に関する情報は不十分だ。そこで、長い会議の末、誰かが地球に行って『アイドル』という宇宙征服の精鋭隊員に加わり、情報を手に入れることを決めた。この長期間にわたる作戦はM8191惑星の宇宙征服に役立つだろう。宇宙征服の第一歩は地球征服なのかもしれないという予感がする。
そして、この作戦遂行に適した者は、今まで地球を観察し続けてきた、この私しかいない。
~宇宙ステーション~
急いで地球へ向かう準備をする。久しぶりの宇宙飛行なので、準備することはたくさんある。
アイドルが最も発達している韓国に行かねばならないので、韓国語の練習を続けているが容易ではない。地球への宇宙飛行中も、ずっと練習していなければならないだろう。そのうえ、精鋭隊員に加わるには歌唱力も必要となる。
私は、より早く地球征服を実現するために、早口の『ラップ』というものを練習した。周囲の者たちも、韓国の精鋭隊員のまねをしようと試みたが、私ほど上手にこなせる者はいなかった。
本当に地球征服は私にしかできないのだと、改めて痛感した。
「@#%@# $% $%(頑張ろう! いけ! いけ!)」
***
紆余曲折の末、地球に到着した。到着の際、惑星間出入管理局で一悶着あったが、幸いなことにラップを披露したら無事に通過できた。練習しておいてよかった。
地球に到着した今こそ、本当の宇宙征服の始まりだ。
まずM8191惑星で見た蚕室の宇宙ステーションに行けば、何か答えが見つかるだろうと考えた。しかし、コンサートが行われていない蚕室は思っていた以上に静かだった。恐らく、宇宙征服の計画を隠すためだろう。
一旦、後退せねばならないだろうか。そう思った瞬間のことだ。
♩ ♪ ♫ ♬
建物の中から、地球の観察中に聴いた美しい歌声が漏れ聞こえてきた。エリートの本能で、この声についていけばいいのだということが分かった。建物の中に入ると、目を開けられないほどまばゆい照明が私を照らした。
続いて、青い光が全身を温かく包むのを感じた。私は徐々に確信を抱き、歌声が導く所に向かって走った。地球人に向かって宣戦布告しながら…。
「覚悟しろ、地球人!」
~ 宇宙征服を夢見る
宇宙人の物語 ~
「アイドルとは、地球で宇宙征服の
準備をする少数の精鋭隊員だと思われる」
タタタタ、ピピーッ。
「@#%$^@#%!$(今週の地球観察日誌、
アップロード完了。以上)」
「#%@^@#^@#(地球語の練習のため、今後は
地球語で疎通されたし。以上)」
「@^@^(了解。まずは韓国語から練習する。
以上)」
ここはM8191惑星。私の任務は宇宙観察だ。宇宙を征服するためには、観察が不可欠。とりわけ主な観察対象となっているのは、最近発見した地球という惑星だ。まだ観察日誌には詳しく書いていないが、地球という場所は実に興味深い。
そこでは、他の生命体が食事している姿を見物することが人気だ。地球人はそれを「モッパン」と呼んでいる。
私も偶然、「スンデネジャン」という食べ物のモッパンとやらを目にしたことがある。「スンデネジャン」とは一体何か?M8191惑星には、「飲食」という概念がない。私たちは何かを食べるのではなく、液体エネルギーを充填(じゅうてん)するからだ。
全ての生命体がおいしいと称賛するそれを、地球に行くことになったら私も食べてみたいと思っていた時だった。
~ピヨン、ピヨン~
「$%@^@#%@%#@%(緊急事態発生。韓国の
蚕室(チャムシル)地区から巨大信号。
確認を頼む。以上)」
「#$@#%@#(了解。確認する。以上)」
何事だろう?
急いで周波数を合わせ、韓国・蚕室の様子をチェックする。
そこには丸形で真ん中に穴の開いた謎の宇宙ステーションのようなものがあった。今まで気付かなかったとは。宇宙ステーションのような所からはものすごく大きな音が漏れ聞こえていて、時々、空に向かって大きな花火を打ち上げてもいた。
宇宙への攻撃か!と思ったが、技術力不足で宇宙までは到達しないようだ。気を取り直して急いで数えてみると、およそ6万4342人の地球生命体が集まっていた。彼らはまるで儀式でもするかのように、中央にいる数人の地球生命体に向かって、何やら声を上げていた。
中央の地球生命体は、私と同じような精鋭隊員なのだろうか?私が一度も聞いたことのない美しい声を出していた。そうやって、全宇宙の生命体を惑わそうとしているのだな!
ところで、精鋭隊員らしき者たちに向けて地球生命体たちが振っている、あの小さな横断幕のようなものは何だろう!?急いで拡大して見た。拡大すればするほど驚愕させられた!
【宇宙征服だ】
【キングゴッドジェネラル 宇宙最高】
【この世を全て手に入れた気分?ちょっと待って。
もうじき宇宙も手に入るから】
【そんなに優秀だったら宇宙征服しかできないよ】
なんということだ!地球も宇宙征服を準備していたのか?冗談じゃない。そんな気配は全くなかったのに…、これほど大規模なものだとは!
~ピヨン、ピヨン~
「!@%!#^!(M8191、全隊員の招集を願う)」
「@#^@^#(韓国に関する事案のため、全ての
会議は韓国語で行う予定だ。以上)」
M8191惑星の全隊員を対象に、私が目撃した衝撃的な状況に関するブリーフィングを行うべく準備した。蚕室地区を集中的に観察し終えた結果――
その行為は『コンサート』というものだった!地球が定めた宇宙征服のコードネームだと推定される。そして、地球生命体が歓喜していた対象は、『アイドル』というものだった。アイドルとは、地球で宇宙征服の準備をする少数の精鋭隊員だと思われる。彼らは『コンサート』のために、多くの生命体を高揚させる歌を映っていたのだった。
まだ地球に関する情報は不十分だ。そこで、長い会議の末、誰かが地球に行って『アイドル』という宇宙征服の精鋭隊員に加わり、情報を手に入れることを決めた。この長期間にわたる作戦はM8191惑星の宇宙征服に役立つだろう。宇宙征服の第一歩は地球征服なのかもしれないという予感がする。
そして、この作戦遂行に適した者は、今まで地球を観察し続けてきた、この私しかいない。
~宇宙ステーション~
急いで地球へ向かう準備をする。久しぶりの宇宙飛行なので、準備することはたくさんある。
アイドルが最も発達している韓国に行かねばならないので、韓国語の練習を続けているが容易ではない。地球への宇宙飛行中も、ずっと練習していなければならないだろう。そのうえ、精鋭隊員に加わるには歌唱力も必要となる。
私は、より早く地球征服を実現するために、早口の『ラップ』というものを練習した。周囲の者たちも、韓国の精鋭隊員のまねをしようと試みたが、私ほど上手にこなせる者はいなかった。
本当に地球征服は私にしかできないのだと、改めて痛感した。
「@#%@$%$%(頑張ろう! いけ! いけ!)」
***
紆余曲折の末、地球に到着した。到着の際、惑星間出入管理局で一悶着あったが、幸いなことにラップを披露したら無事に通過できた。練習しておいてよかった。
地球に到着した今こそ、本当の宇宙征服の始まりだ。
まずM8191惑星で見た蚕室の宇宙ステーションに行けば、何か答えが見つかるだろうと考えた。しかし、コンサートが行われていない蚕室は思っていた以上に静かだった。恐らく、宇宙征服の計画を隠すためだろう。
一旦、後退せねばならないだろうか。そう思った瞬間のことだ。
♩ ♪ ♫ ♬
建物の中から、地球の観察中に聴いた美しい歌声が漏れ聞こえてきた。エリートの本能で、この声についていけばいいのだということが分かった。建物の中に入ると、目を開けられないほどまばゆい照明が私を照らした。
続いて、青い光が全身を温かく包むのを感じた。私は徐々に確信を抱き、歌声が導く所に向かって走った。地球人に向かって宣戦布告しながら…。
「覚悟しろ、地球人!」